〈7月7日・4回戦〉
No.1コートの空気が、
試合が始まるとともに静かに震えた。
相手選手は、いわゆる「打撃型」。
どんなラリーでも、しっかり打ち抜こうとする。
だが、九条はそのすべてを見抜いている。
攻撃をかわしながら、サイドラインぎりぎりに返球し、
次第に相手の焦りを誘っていく。
第1セット、6-2。
第2セット、6-3。
第3セット、6-1。
観客のざわめきが、
少しずつ九条に対する畏怖に変わっていく。
試合後、
九条はラケットを手に、
そのまま無言でコートを後にした。
〈7月8日・準々決勝〉
強力な相手だった。
第1セット、相手の攻撃が鋭く、
九条は若干ペースを乱される場面もあった。
しかし、冷静さを取り戻す。
相手の隙間を突くプレーで、試合を支配する。
感情に左右されている相手に、
九条は冷徹に対応した。
最後のポイントを、
冷静に決める。
準決勝まで、あと一試合。
澪が、ロンドンに向かっている。
その事実を、心の奥に静かに抱えながら、
九条は次の戦いの準備を始めた。
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