序章– category –
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序章
0006.「三年と一隻」― エルクル港
Scene 12|エルクル港近くの路地、夜 その日の夜、全ての手続きが完了したのは午後九時を回ったころだった。 造船所側の代理人との最終書類確認、引き渡し証明、九条名義への正式な所有権移転。一つ一つを処理し終えると、澪は宿に戻る前に港の近くのデパ... -
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0002.「三年と一隻」― 封鎖前夜
Scene 3|グダニスク・造船所、2019年12月下旬(ビデオ会議) Sunreef Yachtsのグダニスク本社に接続したビデオ通話の画面に、顔の横に白髪が混じった大柄な男が映った。 「Jan Kowalskiです。製造ラインのリードをしています」 「綾瀬澪です。担当エージ... -
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0003.「三年と一隻」― 迂回路
Scene 5|横浜オフィス、2020年3月——通達 世界が止まった、と気づく前に、氷川からメールが届いた。 件名に余分な言葉はなかった。「納期について」。 澪は開封する前に、一秒だけ息を止めた。 内容は三行だった。 『Sunreef社より、電子部品の調達遅延に... -
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0004.「三年と一隻」― 氷川の刃
Scene 8|横浜オフィス、2020年6月——上層部の介入 グダニスクとのスロット交換交渉がまとまって三日後、有本に呼ばれた。 いつものデスクではなく、会議室だった。そして有本の隣に、営業本部長の立花が座っていた。 立花は五十代で、白髪交じりのこめかみ... -
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0005.「三年と一隻」― 白鳥の足
Scene 10|横浜オフィス、夜——白鳥の足 プレゼンから法務対応の初回確認、造船所への連絡、氷川への覚書草案の送付——全てのタスクが終わったのは、夜の十一時を回ったころだった。 フロアの電気が半分落ちている。誰もいない。澪は廊下の突き当たり、無人... -
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0001.「三年と一隻」― 受注
Scene 1|横浜・オフィス、2019年12月 神奈川県横浜市。みなとみらいを望む中層ビルの一角に、澪が勤める海洋レジャー専門エージェンシー「マリン・アセット・パートナーズ」の事務所はある。窓の外には鉛色の冬の海が広がり、遠くにベイブリッジのシルエ...
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