Japan Home– category –
-
Savile Row
0078.The Savoy
車内 車は静かに動き出し、ロンドン中心部へと向かう。 暖房の効いた後部座席に身を預けながら、澪はふと前方を見た。 「氷川さん……機内、ちゃんと眠れました? お疲れじゃないですか?」 運転席の背中越しに声をかけると、ルームミラー越しに柔らかな目... -
Savile Row
0079.いざ、仮縫いへ
ロンドンの朝 うっすらと明るくなってきた天井を見上げて、澪はゆっくりと目を開けた。 深く眠っていたはずなのに、寒さと微かな明るさにふと目が覚めた。 窓の向こうは、まだ本格的に日は昇っていない。 時刻は、たぶん朝の七時前後。ロンドンの... -
Savile Row
0081.Night in London
食後の片付け 食後の余韻を楽しんでいたけど、ふとテーブルに目をやると、食器がそのまま残っているのが気になった。 「……ちょっと片付けちゃうね」 そう言って立ち上がり、ワゴンの上に食器を一つずつ丁寧に戻していく。 カチャカチャと音がしない... -
Savile Row
0080.Afternoon in London
いざ、アフタヌーンティー 元の服に着替えた九条が、澪に小さく声をかける。 「……終わったな。約束通り、行くぞ」 「うん!」 澪の顔がぱっと明るくなる。 「アフタヌーンティー!楽しみ!」 それを聞いていた蓮見が、さりげなく近づいてきた。 「ね... -
Savile Row
0082.シェフズ・グリル
シェフズ・テーブル 店の入り口でスタッフに案内を受け、重厚なアールデコ様式のホールへ足を踏み入れる。 深い木目の壁、真鍮の装飾、柔らかな照明――どこか舞台に上がる前のような緊張感が漂う。 案内されたのは、サヴォイ・グリルの奥にある「シェフズ・... -
Savile Row
0083.ロンドンからドバイへ
隠蔽工作 食事を終えて部屋に戻ると、澪は慌ててベッド周りやソファを点検し始めた。 クッションを叩き、シーツのしわを伸ばし、サイドテーブルの避妊具をバッグにしまいこむ。 「匂いとかある!?」 「アイツは犬じゃない」 「でもなんか部屋の空気とかで... -
Japan Home
0068.2月11日(火) 練習再開
朝食 朝のキッチンには、静かな包丁の音と、卵が焼ける軽やかな音が広がっていた。 レオンはエプロン姿で、黙々と作業を進めている。プロの動きに無駄はなく、それでいて、どこか家庭的な温かみもあった。 リビングには九条が既に座っており、新聞代わりに... -
Japan Home
0069.2月11日 午後練
こっちは地獄 「…続けるぞ」 九条の声に、時雨がうんざりした顔を向けた。 「続けるぞ、じゃねぇよ。こっちはもう3セット分くらい動いてんだけど」 九条は返事をしない。ただ、少し汗を拭ってラケットを構える。 彼のグリップは、すでに滑り止めテ... -
Japan Home
0070.2月12日(水)
寝る前に 部屋の灯りを落としてから、まだ数分。 九条はシャワーを浴びて戻ってきたばかりで、髪の先に水滴を残したまま、無言でベッドに入る。 澪はすでに布団に包まっていたが、九条が隣に入ると、その存在だけで温度が変わるのがわかる。 すっと背後か... -
Japan Home
0071.大きなプレゼント計画
帰宅 レオンがキッチンで包丁を動かす中、九条はソファに深く腰を下ろした。 その隣、やや控えるように氷川が立っている。 本来、彼がこの空間まで上がってくることはない。 だが今夜は九条から「少し話がある」と言われ、そのまま一緒にエレベーターに乗...