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Indian Wells
0101.孤独の中の戦い
チームの思案 インディアンウェルズ、3回戦の試合を終えた翌日。 ホテルの一室に集められたチームは、長机に並べたデータと映像を前に、言葉少なに目を通していた。九条は別室で休んでいる。 「……ストレート勝ちはしている。数字だけ見れば文句はない」 ... -
Indian Wells
0102.【BNP Paribas Open | Quarterfinal】沼が凍る
準々決勝 開始 インディアンウェルズ、準々決勝。 日差しが傾き、スタジアムの空気は熱気とざわめきで満ちていた。 マティアス・ヴォルフ。 背の高い体を折りたたむようにしてベースラインの遥か後ろに立ち、ラケットを軽く揺らしている。 まるで最初から... -
Indian Wells
0103.【BNP Paribas Open | Semifinal】砂漠に響く声、砂漠に沈む声
ルーカス・エリクソン ロッカールームの空気は、いつもより重い。 天井の蛍光灯の光が白すぎて、心拍の速さまで照らし出している気がする。 「準決勝」――その響きが、胸の奥をざわつかせる。 ここから先は、ただのツアーじゃない。世界のトップに食い込む... -
Indian Wells
0104.勝利の歓声を越えて
歓声の外にある場所 ロッカールームへ戻る通路は、行きよりも静かに感じた。身体は汗で重い。だが頭の中は、すでに次の決勝のことしかない。 椅子に腰を下ろすと、志水がタオルを差し出し、早瀬が足首の状態をもう一度チェックする。 「軸は問題ない」 短... -
Dubai
0096.離れていても、歩む一日
早い出発 翌朝、まだ空の色が白み始める頃。 九条はホテルのロビーに姿を現した。 手にはラケットバッグひとつ。荷物は最小限、歩みは無駄なく速い。 待っていた氷川と短く頷きを交わす。 「スケジュール通りに進行中です」 「わかった」 そ... -
Dubai
0097.ドバイの終わり
準々決勝 「この大会から、次のパリバオープンまで日がない。時差に慣らす時間も満足に取れない。何度も言うが、深追いせず退く時は退け」 蓮見の声は低いが、明確に釘を刺していた。 「……今までにもコンディションが悪い試合はあった。それでも勝ってきた... -
Dubai
0091.決意の証
決意の証 翌朝。 テーブルの上にはレオンが用意した朝食が並んでいた。 パンに卵、フルーツ。ドバイらしくデーツも添えられている。 澪はコーヒーを手にしながら、ぼんやりした顔でパンをかじっていた。 「なんか変な夢見てた気がするんだけど……忘れた」 ... -
Dubai
0092.二人の共通点
救世主到来 開場前の会場は、まだ少しざわついていた。 ヨットのデッキを磨くスタッフ、パンフレットを並べる手、行き交う声。 「……あれ? 綾瀬さん、Apple Watchのバンド替えた?」 女性スタッフのひとりが気付いて声を掛けてきた。 マジ天使... -
Dubai
0094.Dubai Duty Free Tennis Championships
大会当日のルーティン まだ夜の気配を残す、午前五時。 九条は音を立てぬようにベッドを抜け出した。隣で眠る澪を起こすことはしない。 淡々とシャワーを浴び、白いタオルで髪を乱れなく拭いあげる。 体内時計のように決まった流れで、消化の良い... -
Dubai
0095.Oakwood Suites Yokohama
日本帰国 成田に降り立ったのは、まだ朝の光が淡く空を照らす時間だった。 スーツケースを転がしながら、到着ロビーを抜ける。 「……早朝便って、ほんと体力削られるなぁ」 ぼやきながらスマホを取り出して時間を確認した。 ――出勤まで、あと数時間...
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