2024年– date –
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6.終わりの章|“終わった。けど、それは本当に“終わり”だった?”
澪の手元から離れた記録 モナコへの輸送完了を知らせる連絡は、予定より2日早く届いた。 添付された写真には、朝焼けの空と港の輪郭、そして静かに停泊するSunreef 50の後ろ姿。 背景には、澪が何度も資料で見てきた港の名が記されていた。 Port Hercule. ... -
5.確証の章|“一度も会ってないのに、目を合わせた気がした。”
最終確認通話 FaceTimeの画面が切り替わる。 相手のカメラは、今回もオフのまま。 澪の映像だけが、そこに映っていた。 いつもの通り。何も変わらないはずの時間。 「こんばんは。綾瀬です。本日は最終仕様のご確認を――」 「画面、見えてる」 九条の声は、... -
4.距離の章|“不思議と、こっちの顔を映したくなる瞬間があった。”
3度目のFaceTime、明るい午後 三度目の通話は、週明けの午後に設定された。 場所は職場の会議室。カメラはオン。澪の顔は、淡い光を浴びながら画面に映っていた。 ウィンドウ越しの海は穏やかで、カモメの鳴き声がかすかにマイクに拾われた。 通話の数分前...
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